こんな日なのに
人が…あんまり歩いてない…
駅前より、だいぶ暗いネオンの
居酒屋さんとか、焼鳥屋さん
いろんなお店が入った雑居ビルが続く
外灯と、濡れたアスファルトが
それで白いかんじに光ってて
空を見ると、星が出ていた
「…あ」
――… 見上げていた首をおろすと
突然、世界が変わって ―――
…ピンクや、赤、緑に青
蛍光色の、たくさんのネオン
おとぎの国みたいな、かわいい建物…
キレイなドレスの人たちが
看板の横で笑ってて
頭に、金のリング
天使の羽根をつけた人が
にぎやかな、大きな声で
入口の中へと誘ってたり
いろいろな人たちが
ホントに楽しそうに
光の中で…笑ってる…
「どうした?」
…優しい声をかけられ
思いきり振り返ると
背広を着たサラリーマンの人が
ひとり、立ってた
「…"極楽町" って、ここですか?」