「"極楽町"は、風俗街だよ ただの」


「…え…ッ」


それは、ほんとに突然…
煙と一緒に、ゆるく吐き出された答




「…何の用があるのか知らねえけど
行くんなら一人で行け
場所は、教えてやるよ」



――… え… ひと り…?


テーブルで
なにか書いてたトオヤマさんは
首を回しながら立ち上がり

ポン と肩を叩かれ
紙ナプキンを一枚、その場で渡された


ひらひら
床に落ちそうになって
あわてて受けとる




「そのポケットの、なに?」


「…… えッ…?!」


「いや、やたら膨れてるからさ」


先輩に渡された、スノードーム
そのまま、ポケットに入れて来たんだ…


「あ…ッ!」


中から出したとたん
取り上げられて…

…たまに暗くなったり
明るくなったりするライトの下
一度ふって、面白そうに、光に照らす




「…へぇ キレイじゃん
―― お礼、これでいいや」



「――……」


「取り上げられても
あんま必死じゃねえし、いいだろ?

…好きな子に、やろっかな」



「… 好きな子…?」


「何だよその意外そうな顔は」