「…リョウスケが…ぃる…」


透明なカサから
流れ落ちてく雫と一緒に
コンクリートの床に
こぼれ落ちてく涙…




一階の 一番奥

ドアを、思いきり叩いた


「…リョウスケ!
リョウスケぇ…ッ!!」




―――― 来たんだよ…私


…リョウスケが
そんなふうに思って
別れを切り出したなんて
全然、おもってなかったんだ…


私…
全然、へいきだったんだよ…?


一緒にいられないほうが…


ホントに…
ホントに、つらいんだよ…?




「…リョウスケ…?」




… 多分、ひと部屋だけの
玄関横 少し開いた、ガラスの小窓
そこから、中からのあかりが
全然見えないことに気付いた




――… いないの…?


突然、寒さを感じて
体がふるえた


…なにか、買いに行ったのかな…


そうかも…

うん…きっとそうだよ…!


一緒に住んでたときも
一回帰って来てから
コンビニ行ったときもあるし…




――… だけど

しばらく待っても
リョウスケは帰って来なくて…


部屋の電気が、つくこともなかった…




「…ユキナ?」