「…つ…連れてけって…
む…ッ無理だよそんなん!」


「どッ…どぉしてですかッ?!
場所…知ってるならお願いします!
私その場所、聞いたことなくて…!」


「…聞いたことなくて当たり前だっつの!

ち…地図に
そんな名前、ねえんだから…ッ」




「――― え…」


地図にない、場所…?


「…"通称"って奴だよ

つか…!
女の子が行くような所じゃないし…
俺だって行ったことねえし…
…って、別に怖いとかじゃなくてよ
と、とにかくもう気にすんなよ!な?!

――… それにそいつ
ユキナちゃんじゃねえから!」


「――― 知ってるんですか?!」




言った瞬間、先輩は
"しまった"って顔をして…


なんだか、とても仕方なさそうに
だけど少し自慢そうな
よくわからない感じで、ケータイを出した


「…これだよ
"ユキナ"って女」