数回、ガタガタと
固いものがこすれ合う音をたてて
その電話は…切れた




――… "ユキナ"…?


どういう…こと…?




「…どうした?」


暖炉前のソファに
座っているアサノさまが…
広い部屋のスミで
受話器をにぎったままの私に
心配そうな声をかける


「ま… ちがぃ電話です!
な、なんか最近多いとかで」




「あらごめんなさいユキナちゃん
お電話取ってくれたのね
どなたでした?」


…サチコさん


「い…ぃつもの、間違い電話でした」


「そう…最近なかったのにねぇ
ほら旦那さま!来たばかりの頃
和菓子屋さんとの間違い電話!

あらっ!このお茶受け!
ちょうどそこのお店のですよ
寒いですし、お茶、皆さんどうぞ!」


「ありがとう」

「いただきます」

「……ありがとぅ…ございます」


サチコさんが
運んで来てくれたお茶からは
あたたかそうな湯気


今は、その和菓子屋さんの話題で
場が盛り上がってる…




…なんだったんだろう…今の