ふくれあがった涙で
よくわからない視界
テーブルの上に
白いなにかが、そっと置かれた
「…俺では捜し出せなくてね
君を家に送ってくれた
トオヤマくんが、捜し出してくれたんだ
転々としているらしいし
早く行ったほうがいい
…涙を拭いて、支度をしなさい」
アサノさまは微笑み
私の肩を、力強く叩く
…… どうしたらいいの?
――― どんな顔して
どんな風に、彼に会えばいいの?
私は…
まだふわふわしたキモチのまま
そのメモ書きを開いた
…それは、ふたりで歩いた街
一緒に住んでいた場所から
そんなに遠くない…
リョウスケ…
私…会いに…いきたいよ…
会いたいよ…
…プ
プルルル…
プルルル…
――― ?!
「リョウスケ?!」
突然鳴った家電
サチコさんは、席を外してる
私はリョウスケだと確信して
椅子から駆け出し、受話器を取った
「――… リョウスケ?!」