店の壁際に
いくつかある椅子は
タバコを吸いながら笑う
カップルたちで埋まってる



「…まッ…!待って…」


強引に私の肩を抱いたヨルが
どこかに向かって進もうとすると
人で埋まっていた空間に、道が出来た



「…ッ痛?!」


「ユキナどうした?!」


「…ううん なんでもない」


香水のニオイのかたまりが
トゲみたいな気配と一緒に去って行く


誰かに思いきり
足をふまれた…


「奥行こ!

…プリンはないけど、アイスあるから
もらって来てやる!待ってろ!」


上にあがる鉄の階段があって
そこから降りて来た人たちとすれ違う


私が座ったのは
フロアが真下に見える
扉のない、奥のスペース

カラオケの部屋みたいな感じで
真っ赤なソファと、テーブルがあった


「マ…マジで
マジで待ってろよ?!なッ?!」