ホントにそばに寄らないと
隣にいるユイファさんが
なにを話してるか聞こえない…


やっぱりよく聞こえないけど
揺れる人波の中をかきわけ
ユイファさんのそばに行って
あわててうなずいた




…私たちがいるのは
そこだけぼんやり明るい
飲み物を売ってるみたいな場所


後ろの壁には
有名な外国ビールの看板とか
いろいろなダンサーが写ってるポスター




逆さになったお酒のビンとか
残りさまざまなカクテルの中身が
ブラックライトのせいで
キレイな蛍光色に光ってる




中には一人
腕にトカゲのタトゥーをした
背の高い男の人がいて


ユイファさんがなにかいうと
その人はニコリともせずに
ミネラルウォーターのボトルを
トンと二本、カウンターに置いた



「――…ッ?!」




突然の歓声 ―――


別々のほうに向いていた皆が
ステージのほうを 一斉に振り返る


英語でなにか放送が入って
緑のレーザー光線が 店中を走り回ると


音楽とダンスに導かれるみたいに
フロア中のお客さんが
体中を揺らし始めた ――――