「あっ!こら!レオ様!!また、木登りなんてはしたないことを!!あぁ〜リリアス様〜」
老女は一人の若い13〜15位にしか見えない男の元にかけよった。
「どうかしましたか?」
リリアスと呼ばれたその男は透きとおる声で言った。
「また、レオ様が木登りをせれて困っているのです。」
老女は悩みの原因をリリアスに告げた。
「わかりました。私が、何とかしましょう」
リリアスは"レオ様"の元へ行った。
「レオ様。そろそろ下りて私とダンスのレッスンをしましょう。」
リリアスは優しく語りかけた。
「断るね!そんなもんクソ食らえだ!!
ダンスなんて習っても何にもならん!それより剣の稽古をしよう!!お前となら楽しめそうだ。」
"レオ様"は、木の上から言い放った。
「レオ様。クソ食らえなんてはしたない言葉を使ってはいけません。」
「けっ!かまうもんか。俺は俺のやりたいようにする!!」
「女性が"俺"だなんて言ってはなりませんよ。仮にも貴方は、シュレイム国ルーシー王朝の第二王女なのですから。」
「だ・い・に・王女だろ!俺が、しなくても姉さんがやってくれるさ。」
「そう言う問題ではありません」
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そう、さっきから男の様な口調で話し男の様な遊びをしている"レオ様"とは、
このシュレイム王国の王家であるルーシー王朝ルーシー家の第二王女....つまり女 なのだ。
正式な名を
レオ・シャエルド・ルーシー(11)
と言う。そして、彼女といつまで続くかわからない会話をまともにできる唯一の存在であるリリアス...ハルガ・リリアス(15)は
レオの事を親よりもよく知る付添人。
いわゆる専属のお世話係の様なものだ。
さて、話を戻そうか。
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「レオ様。怒りますよ」
何時までたっても下りようとしないレオにしびれをきらしたリリアスは、
少しドスの効いた声でいった。
「......分かった。けど約束だ!いつか必ず....
この大きな城という牢獄から俺を連れだしてくれ。」
レオは小さな声でけどハッキリとした口調で言った。
リリアスは、レオの心境を悟ったのかうやうやしく腰を曲げ一言
「おおせのままに」
と言った。
『いつかきっと、この城を飛び出して自由にいきたい。それは、許される事なの?』
"枯れかけの花"この言葉を聞いて人々は何を思うと思う?
また、くだらない質問をリリアスにしてしまった。
彼は、お、...私の専属執事。
幼い頃の私は、毎日の様に彼と言い合った覚えがある。
いや、それしかないな。
彼は、今だ20歳にして、私の執事をしているんだ。ありえない。
「"枯れかけの花"ですか....レオ様ですね。」
失礼なっ!「殺されたいの?リリアス」
「貴女に殺されてしまうほどやわではありません。だいたい自分が警護する人が自分よりも強くてどうするんですか。」
確かに.......そうだ。
いや!やっぱりリリアスよりは、強くなりたい。
「それより、なぜ急にそんな質問を?」
「ん?あぁ。書物に書いてあったんだよ。
いずれ枯れかけの花になりそして、散りゆくだろうって」
「...............。」
ん?リリアスは急に黙った。
「そうですね、枯れかけの花...この国かもしれませんね。」
リリアスがつぶやいた言葉は私には聞こえなかった。
「そんなことより、ダンスのレッスンが控えています。もうそろそろ先生もいらっしゃるでしょう。その後はヴァイオリンに
語学の授業が入っています。」
リリアスが一日の予定をつげた。
「はぁ。めんどくさいな。あの人達の前では王女のレオでなければダメなんだから」
「当たり前です。16歳にもなって、男言葉を 使うなんて世間の方々がなんと言うか知れたもんじゃありませんよ」
「わかってるよ。もう、ちっさい時の私じゃ無いんだ。現に俺から私になっただろ?」
「私の指導のおかげです」
はいはい。
私は、いやいやながらもダンスのレッスンへ行った。
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「そう言えば、レオ様は城の外を歩いた事がありますか」
突然の質問だった。家庭教師のスダーラが
聞いてきたのだ。
「城の外へ行けるなら今頃こんなところで
勉強なんてしてないよ」
私の答えに対してスダーラは、
「ほほほほっ。それもソーですな。あの活発なおてんば娘がきちんとお椅子に座って勉強をしているなんてあの頃では想像できませんぞ。」
なんて失礼な事を言ってきた。
「それよりもなんでそんな質問をしたの」
「........この国の姫とあらばこの国が今どうなっているか知る必要があるからです」
この国がどうなっているか?
「なにか大変なことでも起こっているのか?」
「......この国は今衰退の一途をたどっておりまする。常に国内で争いが起こり人々が貧しい思いをしております。明日食べるものも無いのです。家族が生きていくために人々は戦うのです。」
「..........それで、それで王はどのような対策を?」
父である王ならばきっと何か策があるだろう。私は、そう思った。