だいだい、こうなったのは母親のせいだよ


そもそもあんな母親じゃなかったら


私はあんなに苦しむことなんかなかった。


「…………寒い」


おっと。風邪かな?


少し変なことを考え過ぎた。




「そんな所居たら、風邪引くぞ?」

…………誰だよ。お前。

「俺は、佐々木良太」

勝手に喋ってんじゃねぇよ。

「お前、全部声に出てるぞ」

「え、まじ?」

「んで、寒いんじゃなかった?」

「いや、別に………ヘックション!」

うわ、バレる

「やっぱ、寒いんじゃん笑」

一番薄着をしているお前に言われたくはねぇ。

「ほい、貸してやる」

「…………は?」

「いや、だから。貸してやる」

はい着ろよ。じゃなくて、なんでいつのまに私の肩に佐々木良太のブレザーがあるんだよ。

「……………か、借ります」

誘惑に負けてしまった。

「それ、ちゃんと返せよ」

「返すよ、バーカ!」

「ちょ、初対面でバーカはないだろ!」

「あ、ごめん」

「じゃ、もう行くわ」

じゃーな、って言って即帰って行った。
なんだったんだ、アイツ。

え、待てよ。今私アイツと喋った?

喋ったね。喋れるようになったんだね。






んな訳ないと思うな。

やっぱりおかしい、おかしすぎる。


こんなすぐ話せるわけないよ。