◇◇◇



ピンポーン……



インターフォンが鳴って一呼吸おいてからガチャリと開いたドア。


そこから顔を出した蒼ちゃんにどきんっと鼓動が跳ねる。


数ヶ月前までは何度もこのドアを開けたことがあるのに、初めてここへ来たみたいに緊張している。



「すず」



蒼ちゃんは俯いたまま固まっているあたしの顔を覗き込んできたけれど、あまりの近さにまたまた鼓動が大きく跳ねて頬がカッと熱くなる。


咄嗟に一歩後退すると、



「何だよ?」



不機嫌な声が聞こえてきた。


蒼ちゃんらしくない声に顔をあげると、やっぱり不機嫌な表情をしていて。



「俺に会いに来たんじゃないの?」



全くそらすことなくじっと見つめられながらそう訊かれた。