「運命の夜が始まった。」



すずは、つぶやいた。


運命の夜。


声に出してみると、それはまるで呪文のようなひびきだった。


すずの胸が、奥のほうから、じんわりと燃え始めた。



すずが一階のキッチンに降りると、ママが電子レンジの中からオムライスを取り出しているところだった。



「ママ、もういいよ。


あとは、あたしが自分でやるから。


おむかえが来てるよ。」



「そう?


ごめんね。


じゃあ、よろしくね。


夜ふかししないように。」