「ベルも、じきに理解するようになるよ。」
おねえさんは予言した。
ジョージ・ハリスンを、ビートルズを、知りたい。
すずは、祈るように言った。
「歌を聴かせてください。
ビートルズの歌。」
「日本語の歌はないよ。」
「いいよ。呪文みたいで、きれいだから。」
おねえさんは、にっこりして、こう言った。
「ねえ、ベル。
すずをベルと呼ぶなら、資格が発生する。」
「資格?」
「将来、Bの頭文字のミュージシャンになれる資格。
かのビートルズと並び称されるべく、夢をいだいて歌を歌う資格。」
ざらっと甘い声のしっぽに、ギターのひびきが重なった。