すずは、ママのことが好きだ。


だから、ママに約束を忘れられれば、泣きたくなったし、怒りたくもなった。



「でも、泣くのも怒るのも、意味がないと思ったの。


それで、逆に、楽しみに変えることにしたの。


ママが百回、忘れ物をしたら、あたしはやりたいことをやってみるんだって。


五年生になった日から数え始めて、ピアノのレッスンノートにこっそりメモしてた。


百回になったら何をしようかなって考えるのは、すっごくわくわくした。」



「やりたいことっていうのが、冒険だった?」