「それで、君ら母子を捨てたロクデナシには文句一つ言わなくてもいいのかい?」


ロクデナシ発言をするのは課長さん。この人も、部長同様とても理解がある。


部長と近い年齢で気さくな話しやすい人だ。部長ともども有難い上司の一人。


「そんなロクデナシは捨てて次の男を探すべきだよ。」


そう言い寄ってくるのは会社の先輩で、私と同じ平社員の江崎さん。


江崎さんは至って普通の顔立ちの普通の男性。


私より少し年上で隙あらば私を口説こうとする。


「次の男に立候補したそうな顔してるわね、江崎君。」


この人は蟹江さんという美人タイプの先輩社員。


「芳樹君のお父さん候補でもいいよ♪」


「はいはい・・・」


こうやって江崎さんは私の夫候補に名乗りを上げてくる。


けれど、江崎さんとの結婚なんて考えられませんからね。


そもそも、この人はこうやって楽しんでいる節があるので口説くと言っても真実味はない。


だから、私も本気にせずにあまり相手にしない。


「完全に対象外ですよね?」


「だろうな。毎回こうやって嫌がられているのに気付かない江崎さんもすごいね。」


私たちの会話に興味なさそうな顔をして、しっかり隣で聞いていた二人。


私と同僚の坂田さん。ちょっとかわいい系の女の子っぽい子。


そして江崎さんを「すごい」と言ったこの人も同じく私と同僚で岩下君。


岩下君はクールな感じの男の子っぽい人だ。


そしてその会話を黙って眺めているもう一人の社員がすぐ隣に眉間にしわを寄せて立っている。


その社員は私の先輩社員で凛々しい男性の吉富さん。


若い女の子なら憧れてしまいそうな大人の男性。


これが、私が仕事をする商品管理部門だ。