「すいません、遅くなりました!」


病気の子どもの世話をしながらの出勤は、思うように時間通りとはいかない。


一応、会社にはその連絡を入れてからの出勤をしている。


が、やはり、多少とはいえ遅刻は少々気が引ける。


「息子さんは大丈夫なのかね? しかし、ここの託児所には看護師がついているから安心と言えば安心だね。」


この人は部長さん。ご年配の部長さんで、これまで子育ての経験があるからかとても理解のある人。


シングルマザーの私に嫌な顔一つせずに接してくれる。


とてもありがたい上司だ。



「はい、療養室で預かってもらっています。
薬で一応熱は下がったのですが、やっぱり気になるので後で様子を見て来てもいいですか?」


やはり、母親として病気の子どもを一日中知らん顔ではいられない。


「構わないよ。お子さんにはしっかりと母親の愛情が必要だからね。行ってくるといい。」


「ありがとうございます。」


こんな理解のある上司の職場で働ける私は恵まれていると思う。


子どもがいることで職を失う人が多い中、ここは上司だけでなく先輩や同僚たちも温かい目で見てくれるのがとても嬉しい。


ここで働けてとても幸せだと思う。