「今の言葉忘れるなよ。」
義父のたった一言が俺の心に重くのしかかる。
その一言でいかに加奈子が両親に愛されているかが判る。
「いつまでも花嫁を一人にするな」
義父の厳しい言葉とは違い笑みを見せてくれるその顔に俺も心から幸せを感じる。
俺はこれまで加奈子と二人幸せになればいいと思っていた。
けれど、この幸せは俺たち二人だけで得れる幸せではない。
皆からの祝福を受けて初めて幸せになれるのだと分かった。
加奈子は俺が考えていた見せかけの贅沢な結婚式を望んでいなかったんだ。
最初から、質素でもいいから、両親に見守られて挙式を挙げたかったんだ。
きっと、今日は一生忘れられない日になる。
加奈子と出会えて良かった。
こんな幸せを加奈子に貰えて俺は最高の花婿になる。
「加奈子、愛してる。」
誓いの言葉の後には誓いのキス。
そして、愛の言葉に包まれてキスをする。
両親の見守るなか俺は幸せいっぱいの情熱的なキスをした。
そして暫く見つめあうとしっかり加奈子を抱き締めた。
ウェディングドレス姿の初々しい加奈子が眩しすぎて俺の心臓は破裂寸前だ。
加奈子に何度ドキドキさせられたことだろう。
何度加奈子に嫉妬させられただろうか。
その度に俺は加奈子に恋をするんだ。
愛しい加奈子を今すぐベッドへ押し倒したくてたまらない。
「ああ、愛してる。加奈子。」
「透、親の前だよ。恥ずかしいわ。」
「構うものか!」
頬をピンクに染めたウェディングドレス姿の加奈子を抱き上げそのままキスをした。
加奈子は俺の妻なんだ。
そして、俺は加奈子の夫なのだと喜びでキスを止められなかった。