「あら、専務の名前で皆に宣伝し終わっているのよ。今更、ここで専務が中止したらどんな理由にしろ社員を騙したことになるわよね?」


「俺はそんな話は聞いていない! 勝手なことするんじゃない!!」


どんなに怒鳴っても今更後には引けないのよ。


自分ではどうしようもないことだって起きるのだから。


その時は諦めも肝心なのよ。


お判り? 透。


「あら、私に任せるって言ったじゃない? それに度肝を抜くようなアイデア欲しがってたじゃない。
まあ、いいから、最後まで黙ってみてなさいって。」


「いや・・・おい・・・かな・・・」



今更 もう 誰にも止められない。


ここまで広まったこの企画は最後まで突き進むしかないのだから。


透は勿論のこと、そんな様子を見た部長や課長をはじめ、皆の顔色が変わっていった。


そして、それが今後どう処罰の対象になるのか? それが気になってしまう部長と課長だった。


「我々クビかな? どう思う?」


「部長、道連れですか・・・」


オロオロする部長と課長。万が一そうなれば一緒に退職でしょうね。


「まさかこの部門が閉鎖とかないわよね?」


「蟹江、そこまではないだろう? この部門が無くなったら会社が困る。」


「吉富さん、俺たち全員が解雇になったらどうします?」


蟹江さんも吉富さんもかなり困惑気味だ。


そして、いつも冷静な岩下君も今回ばかりは心配していた。



「俺、頭痛がしてきた・・・・」


頭を抱え込みながら透がどこかへと去って行った。


そんな様子をみて私はしてやったりとにっこり微笑んでしまった。


そして、

「ザマーミロよ」


と、口走ってしまった。


こんな仕返しは可愛いものなのよ、透。


そんな私を見て皆は「悪魔だ」と言っていたが私の耳には入ってこなかった。