「まあまあ、もう少し黙って見ていなさいって。後のお楽しみなんだから。」


「そりゃあいいが、全国の支店も巻き込んだって?」


透は今回の販促に関しての盛り上がりには賛成のようね。


だけど、肝心のこの企画担当者が企画内容を知らされていなかったじゃ済まされないでしょうね。


「全国の支店まで参加してもらえると正確な統計が取りやすくなるでしょう?それに、社員とその家族までは投票権を与えるの。かなりの数が集まれば専務も納得できる結果を得られるでしょう?」


そう言われると透は頷いて話を聞いていた。


これに関しては文句なさそうね。


透に無断で始めたことだけど多分継続するのに問題はないと思う。


「それでその成果はあがりそうなのか?」


「これからよ」


まだ始まったばかり。


今日が宣伝初日だから今後を楽しみに待っていてもらうしかない。


「ただ、期間を短く区切っているから皆の注目も上がるわ。長くなるとだらけてしまうからね。
その代わり各支店には専務の名前で協力をお願いしているの。」


にっこり笑って透の機嫌を取ってみる。


この後の会話はきっと透には寝耳に水の話だろうから。


「俺の名前を使ったのか?」


「当然よ、だって企画担当者でしょ? それに専務の名前入りの方が支店を動かすのに良い圧力になるでしょ?」


「それ、不味いだろ?!」


「ちょっと! 田中さん?! それどういうことなの?」


吉富さんも蟹江さんも事の真相が分かってかなり狼狽えていた。


部長や課長は今にも泡でも吹きそうな状態だ。