「確かにお互い、知らないことも多いけどさ、同じじゃないことくらい分かる。璃子はそんな子じゃないって」

 ユイちゃんは手の甲で、私の目の縁に溜まっていた涙を拭ってくれる。

「それにあいつもそんなに馬鹿じゃないよ。女子に思わせぶりな態度とるのは悪い癖だけど、そういう子に自分のことを話したがらないから」

 温かい手、優しい言葉。うんと頷いた私。すると、肩に何かが触れる。首を回して目を向けたら……

「何の話?俺もまぜてよ」

 洸君が私の隣に来ていて、少し屈んだ彼の肩が私の肩に触れていたのに気づく。驚きで涙も引っ込み、飛び上がりそうになるのを抑えて、努めて冷静なフリをした。

「あ、あれ?ゲームしてたんじゃ……」

「今は彰さんと万里子さんがしてる。あ、次は俺と一緒にする?」

「え、でも、私、ゲームしたことないし」

「大丈夫、俺が手取り足取り、なんでも教えてあげる」

「……っ!?」

「変な言い方するな!!」

 赤面する私と、面白そうに笑う洸君を叱るユイちゃん。向こうから聞こえてくるのは彰さんと万里子さんが騒ぐ声で、速川家はその夜、商店街で一番賑わっていただろう。