なんて事でもないような顔で、さらっと言って、再び食器を洗うユイちゃん。私は固まったまま、何も言えずにそれを見ていた。

 まさか、と思う。

 だって、いくらなんでも、と。

 だけど……

「中学の時、仲良くなった子がいて、その子のグループにいるようになったんだけど、話していく内に立花目当てで私と一緒にいただけだって分かって」

 なおも手を動かしながら話す。まるで他人事のように。

「案の定、立花が不特定の女の子と仲良くしてるのに嫉妬して、挙げ句に私にまで嫉妬して……虐め、ていうか孤立?ま、部活の仲間は私の味方してくれたから、周りで言う酷いものじゃなかったけどね。でも立花はそれ気にしちゃって、何かと構ってくるから避けたの」

 火に油注ぐみたいなもんでしょ?と笑うユイちゃんに、私は依然としてどんな言葉を口にすればいいか分からなかった。

 何も知らずに、知ったような気でいたんだ。

「立花はそんな私を嫌いになったんだと思ってた。私、前から言葉がキツいし、気にかけてくれたのに『放っておけ』とか『近寄るな』とか自分でも最低だと思うもの」