「どうしよう……見つからなかったな」

 学校に着いて教室に向かいながら、ひとつだけ残ったイヤリングを眺めてため息をこぼす。

 日曜日も、今日の朝だって探したのに見つからないなんて。

「おはよ、璃子」

 落ち込んだ表情で振り返った私に、ユイちゃんは眉を寄せた。

「どうしたのよ、立花とうまくいってご機嫌だと思ってたのに」

「うぅ……ユイちゃん……」

 事のあらましを話すと、「なるほど、そういう事ね」と頷き、さらに「イヤリングはあるよ」と言った。

「え?でも、あんなに探したのに……」

「シンデレラが落としたガラスの靴は王子さまが持ってるでしょ?それより、周りを見てごらんよ」

 どういうこと?と首を傾げて、階段を上りきった広い踊り場で立ち止まり、言われた通りに辺りを見渡す。

 そこには、どういう訳か後夜祭の時の私がたくさん……いや、正確には、私の髪型やイヤリングを真似している女の子がいた。