*
お昼の時間になると一層、人が多くなって、混雑する廊下を潜り抜けるように進んで、待ち合わせ場所の昇降口に向かう。
「まだ、来てなさそうだね」
ユイちゃんの言葉通り、彩音の姿はどこにもなかった。村川さんと一緒なら、美男美女の二人は目立つから探さなくてもすぐに分かるはずだ。
と、ぼんやり往来を眺める私の隣で、ユイちゃんは串についた揚げ餅を無心に食べていた。ほんと、よく食べるのにスタイル良いんだなぁ。
私の視線に気付いたユイちゃんが、口をもぐもぐ動かして最後の一本を差し出してくれる。私は手を振って「どうぞ」と促す。
「璃子ぉー!!」
文化祭の賑わいなんか関係なしに轟く声。半ば飽きれ気味に振り返る。まだ外にいるのに、その大袈裟なリアクションと一直線に向かってくる一人の姿は異様に目立っていて、無意識に逃げる構えをとるが……
「つ、か、ま、え、たぁ!!」
ぶつかるように抱き付いた彩音は頬擦りをして、諦めの境地にある私はされるがままだ。
お昼の時間になると一層、人が多くなって、混雑する廊下を潜り抜けるように進んで、待ち合わせ場所の昇降口に向かう。
「まだ、来てなさそうだね」
ユイちゃんの言葉通り、彩音の姿はどこにもなかった。村川さんと一緒なら、美男美女の二人は目立つから探さなくてもすぐに分かるはずだ。
と、ぼんやり往来を眺める私の隣で、ユイちゃんは串についた揚げ餅を無心に食べていた。ほんと、よく食べるのにスタイル良いんだなぁ。
私の視線に気付いたユイちゃんが、口をもぐもぐ動かして最後の一本を差し出してくれる。私は手を振って「どうぞ」と促す。
「璃子ぉー!!」
文化祭の賑わいなんか関係なしに轟く声。半ば飽きれ気味に振り返る。まだ外にいるのに、その大袈裟なリアクションと一直線に向かってくる一人の姿は異様に目立っていて、無意識に逃げる構えをとるが……
「つ、か、ま、え、たぁ!!」
ぶつかるように抱き付いた彩音は頬擦りをして、諦めの境地にある私はされるがままだ。