翌日、いつもの通りに登校して、お昼になるとユイちゃんと合流して食堂でお昼を済ませて、人気のないいつもの棟の階段に座って喋る。

 ……そう、私は至って普通の、普段通りの自分でいたつもりなのだけど。

「何かあったの?璃子」

 隣に座るユイちゃんは、膝の上に雑誌を置いて、ヘアアレンジの特集を見ながら聞いた。

「へっ!?あ、ううん、何もないけど?どうして?」

 9月とは言えまだ暑い。汗を拭って、制服のシャツをパタパタして風を通す。

「昨日、ちゃんと投票しに行けた?」

 動かしていた手が止まる。

「え!?どうして、それを……」

 実は、投票することを隠して昼休みが終わる前に別れたのだけど、ユイちゃんにはお見通しだったみたい。

「こそこそしてここから出ていった璃子の様子と、田原軍団の様子を見てればすぐ分かるよ。何も話してくれないけどさ」

 少し拗ねたようにそっぽを向くユイちゃん。申し訳なくなって謝ると、雑誌を閉じてこちらを向いてくれた。