仕事も終わって社内にいる訳にはいかないので、取り敢えず会社から少し離れたカフェに入ることに。

上条課長にもこの店にいることと、コーヒーを飲んでまったりしているので焦らずに仕事を終わられてきて下さいとメールを送っておく。

温かいカフェラテを飲みながら今日のことを思い出す。

今日の片瀬さん、一体どうしちゃったんだろう…。

いつもの毒舌で、私を小馬鹿にしてばかりの片瀬さんじゃなかった。

あんな真剣な目で気になるなんて言われるなんて…

いや、でも片瀬さんが私の事を気になるとか何かの間違いじゃない?

今までそんな雰囲気になった事なんて3年間で1度も無かったし、全然ピンとこない。

それに、万が一にそんなことがあったとしても、今の私には上条課長がいるし、片瀬さんをそんな目で見た事なんて無かった。

それに、美咲ちゃんの事を思うと私の事をなんて思いたくない…。

課長の事でいっぱいいっぱいだったのに、まさかの先輩の態度に更に頭の中はパニックだ。

先週の花見から信じられないことの連続で、いったい何がなんだか。

自慢じゃないけど、人生でモテたためしなんか全く無い。

付き合った人数だって片手でも余る程。

それが会社の人気No.1の課長から告白されて、まさかの彼女になれるなんて人生最大の奇跡が起こったばかりだ。

その2日後に、毒舌とはいえ仕事の出来るイケメン先輩から気になる発言…。

あり得ない、あり得なさ過ぎる。

「私、近々死ぬのかな…。」

思わずポツリと口から本音が漏れた。

「それは困るな。」

声の方に顔を向けると、困った顔をした上条課長が立っていた。

「ようやく付き合える事になったこんな幸せな時期に、急に恋人が居なくなるなんて事になったら辛いな。」

「上条課長!仕事はどうされたんですか?」

「ちゃんと終わらせて来たよ。早く会いたくて急いで来たら、まさかの死ぬかもなんてセリフを聞く事になるとはね。」