私は部屋を飛び出し、急いで落ちないよう気を付けながら、螺旋階段を下りた。
「キミっ!」
「雪愛、ただいま」
スッキリした笑顔の彼は、本当にステキだ。
…きっと、憎いアイツが死んだのね。
抱きつくと、彼は優しく頭を撫でてくれた。
「どうしたんだよ、雪愛」
「エヘヘ。
あのね、渡したいものがあるの!」
「何だい?」
彼の手を引いて、部屋へ行く。
私たちが高校生の頃は、彼の部屋だった場所。
だけど同居している今は、2人の部屋だ。
私も名字は若王子になり、正式に彼の奥様だ。
そんな元・彼の部屋にある、隠し扉。
以前、私の写真が部屋中に貼られていた、彼の癒しの部屋。
私はそこへ、彼を連れ込んだ。