「ぐ、
ぎゃああああああああああっ!
目が、あ、あ、目がああああぁぁぁああッ!!」
光の入らない真っ暗な廃倉庫に、稲生の悲鳴が轟いた。
ロープと鎖で頑丈に縛られている稲生の体は、動かない。
動きたくても動けない、その無様な姿を見て、カレは笑みを浮かべていた。
「フフ…良い気味ですね、中岡サン?」
不気味に妖しく微笑む貴魅の手には、ぬらりと光る、稲生の右目を躊躇いもなく刺した、ナイフが握られていた。
それを両手で弄びながら、呑気に鼻歌を歌っている。
「き、貴様ァ……ッ」
「おや、殴りたいですか?
殴りたいのなら、思う存分、僕を殴ってください。
…殴れるものなら、ネ?」
残った左目で、稲生は貴魅を睨みつける。
だけどカレは微笑むばかりで、稲生の睨みなど全く効いていなかった。
…マシ、なんですよ、アナタの睨みなんて。
僕を時間に関わらず呼び出した…アイツの憎しみに満ちた目に比べればネ。