そして、あの日の事件が起こった。
彼は3年経った今でも、その事件のことは忘れていない。
忘れることなんて、出来ない事件だった。
あの時の自分は、壊れていた。
今でも当時のことを思い出し、悪夢にうなされる。
愛に飢えていた彼は。
あろうことか、憧れていた彼女を、
―――監禁したのだ。
監禁が罪になることはわかっていた。
憎きアイツを敵にまわすことも。
だけど、暴走は自分でも止められなかった。
中学生の頃、彼は夜な夜な街へ出掛け、悪い仲間とつるんでいた。
彼女を監禁すると決意した彼は、かつての仲間に連絡した。
ある1人の友人の元へ以前遊びに行ったとき、友人の祖父が闇ルートを使って手に入れた“あるもの”を見せてくれたのを思い出したのだ。
それは、手錠と足枷だった。
ソレを見た時、さすが闇ルートだ、と感心したものだ。
彼は友人に連絡し、どうして手に入れたのか理由はわからない、その手錠と足枷を貸してほしいと頼み込んだ。
友人とは付き合っていた仲間の中で最も仲の良い友人だったし、その祖父とも仲が良かったため、アッサリ用途も聞かずに貸してくれた。
そして。
デートに行くと嘘をつき、彼は彼女を、監禁した。