バスを乗り、目的の場所で降りる。
バス停名は住宅街前だから、僕みたいなのが下車しても大丈夫、不審に思われない。
現に、多くの人が降りて行くのだから。
バスの中にも降りた場所にも、多くの人がいたから。
僕1人、誰も覚えていないだろう。
このために、今僕はマスクをしているのだから。
本当は帽子を被りたかったけど。
バスと言う室内で帽子を脱がないのは、変だから。
逆に覚えられてしまう。
バスを降りてから、僕は帽子を被った。
深く被らないで浅く被れば、不審に思われない。
今は寒い寒い、冬だから。
マスクをしていても、問題はない。
今風邪も流行っているみたいだからね。
…雪愛が風邪引かないよう、僕がしっかりしておかないとな。
住宅街を歩き、僕は目的の家の前に立った。
新築らしい、綺麗な一軒家。
庭には冬にも関わらず花が咲き乱れ、この間発売されたとテレビで流れていた車が屋根付き駐車場に停車していた。
幸せそうな、家庭。
だけど、中身は?
いくら外見が綺麗でも、
中身が脆ければ、
アッサリと、
壊レテしまうんだヨ……?