1度自分の教室に戻り、1時間目を欠席することを伝えると、先生は了承してくれた。
そのまま屋上へ向かう。
鍵は、園田愛恵を殺した際、一応念のため作っておいた鍵があったけど。
園田愛恵の事件も忘れ去られた頃、再び僕は校長から鍵をもらった。
だから今、僕が鍵を持っていることは、普通なのだ。
「…しっかし、さすがだよなぁ。
王子の名前、ココでも健在かよ」
「……?」
「王子って中学の時も、家の力を使って、色々していたじゃねーか。
さっきみたいに、教師を頷かせたのも、家の力だろ?」
「…みたいだねぇ。
僕自身は、何もしていないんだけど」
「本っ当、その身分が羨ましいよ俺は」
これ以上、稲生が僕に当てる嫉妬心なんて聞いていたくない。
僕が屋上の地面に座るよう言えば、稲生は素直に従った。
…そして僕は、本題に入った。
「このメールについて、説明してほしいんだけど」
僕はポケットから、スマホを取り出し、稲生から受け取ったメールを見せた。
稲生はメールを見て、ふっと笑った。
「そのスマホも、最近発売の新製品、か。
相変わらず“ぼっちゃん”だなぁお前は」
「くだらないこと話していないで、説明して」
「そのままだよ、王子」