何故彼女に話しかけたのか。

理由は2つある。



1つ目は、たまたま通りすがったから。

2つ目は、彼女は以前僕に告白してきた子だから。

告白してくれた女子のことは、覚えているんだよね。






「ねぇ」

「きゃっ…な、何ですか?」

「雪愛、何で休みなのか知ってる?」

「か、海外留学だって聞きましたけど…」

「そっか。
じゃあ、僕が休んでいる間に、雪愛に何かあった?」

「何か…ですか……?」




首を傾げたクラスメイトは、「そういえば」と切り出した。





「隣のクラスに、稲生冬樹(ふゆき)って男子いるのご存知ですか?
彼が、王子が休みの時に、頻(しき)りに話しかけていましたけど…。

家が近所だからって、一緒に登校していたみたいです。
休み時間の度に教室に来て、一緒に話したり。
お昼ご飯も一緒に食べていたみたいですよ……?」





稲生冬樹…?

…何か、怪しいな。





「ありがとう」




僕はお礼を言い、稲生冬樹の教室ではなく、自分の教室へ向かった。