「凛音。トマトあげるー」
「えー、好き嫌いは駄目だよ陽」
お子様ランチに入っていたトマトをわざわざあたしの元へと持ってきた陽にツンと素っ気無くすれば、可愛く「食べて~」とお願いされて。
「仕方ないなぁ」
凛音ちゃん、デレデレ顔で差し出されたトマトをぱくり。
煌に甘やかすなって言われたけど、あんな可愛い顔でお願いされちゃ凛音ちゃんNOと言えないよ。
「りっちゃん、ダーツしようぜ、ダーツ!」
「うん、しよしよ!」
真っ昼間から飲み会のようなノリで騒ぎまくるあたし達。
「陽、持ち方こうだよ、こう!」
あたしはこの空気が好き。
笑ったり怒ったり喧嘩したり。
出来ればこの平和な日々を無くしたくない。
ずっと皆と笑っていたいよ。
けれど、運命というのは残酷で、あたしを無理矢理闇へと引きずり込もうとする。
あたしがその決断を下す事が分かっていたかの様に。