「………」


頭では言わなきゃいけないと分かっているのに、どうやっても声が出てきてくれなくて。


ただただ沈黙だけが流れていく。




「何だよ。理由ねぇのかよ。じゃあ諦めるんだな。俺等はお前を離すつもりはない」


「でも!」


「でも、何だよ?理由はねぇんだろ?お前の事だから大体は想像つく。あいつ等なら心配ねぇ。怪我しねぇよ」


「……っ」



違う。それもあるけど、本当の理由は違うの。


そう言いたいけど、やっぱり言葉は出て来てくれなくて。



「煌。もう決めたの」



それしか出てこない。



「無理だって言ってんだろ」


「もう決めたの!!」



馬鹿の一つ覚えみたいにそれしか言わないあたしに煌が眉を寄せる。



「だから何でいきなりそうなるんだよ!気にすんなって言ってんだろうが!」


「それでももう決めたの!!」




……もう、めちゃくちゃだ。


自分でも何が言いたいのか分からない。



理由が言えない自分にも、抜ける事を了承してくれない煌にも腹が立ってしょうがなかった。



どうすれば分かって貰えるの?


抜ける理由を言えばいいの?


本当の理由を言えばいいの?




あたしが貴兄の妹だって、


十夜が恨んでる獅鷹の総長の妹だって言えばいいの?



そんなの、



そんなの言えないよ……!