「凛音!」

「りっちゃん!?」

「凛音ちゃん!」

「……っ、アイツ!!」



あたしの姿を見つけるなりこっちに走り出す十夜達。


だけど、あの距離じゃ絶対に追いつかない。


となると、やっぱりあたしがやるしかないよね。



よし。食らいやがれ!



「ムサイ流、汗クサイナズマラリアーーット!!」


「ガフッ!!」



いよっしゃー!決まったぁー!!


ムサイ様の必殺技を真正面から受け、豪快に倒れた男にガッツポーズ。



よーし、まだまだ!!



そのまま男の元へと近寄って行き、腕を持ち上げて技をかける。



「ムサイ流 暑苦腕挫十字固めー!!」


「……ッテェー!!ギブ!ギブギブギブギブ!!」



ムサイ様のもう一つの必殺技を食らって雄叫びを上げる男。



フンッ!まだ許してやるもんか!



「アンタのせいであたしのアイスが潰れちゃったんだからね!」


食べ物の恨みはコワイんだから!


あー、思い出したらまた腹立ってきた。



「痛い痛い痛い!謝る!謝るから……!」



だから許して、と許しを請う男に力を緩める。



「ごめんなさいは!?」


「ご、ごめんなさい」


「もうしませんは!?」


「もうしません」


「……よし。許してやる」



謝ったからね。仕方ない。許してやるか。


あぁ、あたしってばなんて良い人。



そう思った時だった。



「ったぁーい!」


脳天に衝撃が走って、直ぐ様そこを両手で押さえる。