「いってらっしゃい!気をつけてね!」
そう言えたのは三人が玄関を出る寸前だった。
あたしの言葉に手を振ってリビングを出ていく三人。
「──煌、お前には水皇と雷の所に行ってもらう。用意しておけ」
ソファーに近寄ってきた十夜は隣に居る煌にそう指示を出すと、煌からあたしへと視線を移した。
交わる視線に心臓が小さく跳ねる。
「凛音、悪いな。下の奴らに話しがある。すぐ戻るから待っとけ」
そう言った十夜はあたしの頭にポンッと手を乗せるとリビングから出ていった。
静かに閉まるドアを見ながら、はぁ……と心の中で小さく溜め息をつく。
結局みんなに言えなかったな。
決心が鈍らない内に言いたかったのに。
それに、今の様子を見てやっぱり言わなきゃいけないと思った。
だって、あたしが居ると十夜達動きづらそうに感じたから。
あたしが居なかったら、今頃十夜は皆と一緒に傘下の元へ行ってたはず。
あたしが、居なければ……。
「煌」
──気付けばあたしは煌の名前を口にしていた。