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「雷さん、ご馳走様でした!また来ます!」

「凛音ちゃん、また来てね~」


遊び尽くして満足したあたし達は、雷さんにお礼を言ってお店を出た。



「あー、楽しかった!」


「そりゃ凛音は楽しいだろうよ。俺なんか、俺なんか……!」


「あ、陽、大丈夫だから!練習すれば上手になるって!」



どうしよう。陽がやさぐれている。

本気泣きしそうな陽を必死で宥め、落ち着かせようと手を繋ぐ。










「凛音」

「ぅわっ!」


ちょ、いきなり何!?


すっかり機嫌が直った陽とじゃれ合っていたら、突然十夜に腕を引かれて、勢いのまま十夜の後ろへと隠された。



「ちょ、いきなり何!?」

「黙ってろ」

「……っ」


肩越しに落とされた低い声にグッと息を呑んで黙り込む。


いきなりどうしたの……?


まるで存在を隠すかの様にあたしを取り囲んだ十夜達は、険しい表情で何かを睨んでいた。


向こうに、何かあるの?


普段穏やかな壱さんまでもが恐い顔をしているなんてどう考えてもオカシイ。


向こう側に“何か”ある。


そう確信したあたしは、十夜と煌の間からそっと向こうを盗み見た。


瞬間。


「……っ」


考えるよりも先に身体が動いた。

十夜の後ろに隠れて顔を隠すように俯く。



……っ、なんで……、

なんでこんな所に貴兄が居るの……?

なんで!








そう。

十夜達の向こう側に居たのはあたしの兄、貴音で。


その貴兄を、十夜達は睨んでいたのだ。


──あたしが今まで見た事ない鋭い視線で。