「それじゃ、今できることを確認、整理していこう」



 鶴の一声。
 セクター長の指示で、これからの対策を練る。



「まずは連絡ルートの確保しよう。ここから脱出できるなら、それに越したことはない」


 うん。
 一番、重要なポイントですね。


 まだ研究所内に誰かは残っているだろうし。
 ここを出てしまえば、かなり状況は違ってくる。


 そうなると、警備員ふたりに期待が高まります。


「……おかしいぞー。電話が繋がらねー」

「ネットにも繋がらないぞ」



 どうやら無線機も使って本部に接触を試みたらしいけど全滅。
 電波に干渉してるか、障害を起こしてるんだわ。

 外部からの救助は期待できない。


 頼りなさすぎ。
 となると、次はさしあたり。


「ハルちゃん。人形に関する情報は他にない?」

「え、あ、はいッ。今まで人形を購入した所有者と、事件記事は調べてあります」


 急に話を振られて慌てたのか。
 遥香が机からがさごそと資料を漁る。
 散らかり放題と思えても、セクター長に要望のものをサッと手渡した。

「こ、これですッ」

「ありがとう」