もしかして、悠真クンってブラコン?


 軽く引きそうになる。
 思春期前ならともかく、二十五をとっくに過ぎた男にしては残念すぎた。


 さらに発言しにくい空気になったな。
 押し潰されるような居心地の悪さを感じ、内心はかなり焦っていたのだけれど。


 じっと悠真クンを見つめていたセクター長から、ふッと溜め息がこぼれる。



「……全く。仕様がないな」



 柔らかな声音で、弟の頭に触れる。
 被っていた帽子に押し込むような手つきで。
 それでいて、愛おしむような優しい仕草で撫でている。

 悠真クンも嫌がる素振りはなく、俯き加減でされるがまま。
 うっすらと朱が差した頬で「もっとしろ」と催促しているように見えた。



 えぇー?
 悠真クン、本気ー?

 セクター長も、それでいいのー?

 端目じゃ、ドン引きするようなやりとり………いや、微笑ましい場面なのか?


 正確な判断するため、他のリアクションを参考にしたいんだけど。


「そ、そそそそんな……結婚だなんて」


 まずい。こっちも、テンパってる。
 顔が真っ赤になったままの玲奈は小声でブツブツと呟き、あまり当てにならない。