絶対的な未来じゃないけど、いつかくるかもしれない日。

 兄弟でもない。
 友達でもない。
 親戚でもない。

 曖昧な距離の彼らには、互いを縛りつける拘束力なんてないのだ。

 これからの将生の人生。
 悠真クンが干渉する権利なんて、どこにもない。


 ……はずなんだけどー。


「け、結婚……」

「オレは、正直どっちでもいいけどよー」


 当事者ふたりのリアクションは、まちまちだ。
 これから干渉するかもしれない玲奈の顔は真っ赤だ。湯気まであがりそう。


 そんで、将生よ。どっちでもいいって、まさに『どっち』?

 結婚することなのか。
 結婚しても、悠真クンの面倒を見ることなのか。

 アホなのか。
 すげー懐が広いのか。

 謎である。



 それでも、悠真クンは認めたくないのか、ぷいと視線を逸らした。



「……兄貴が一人暮らしするからだろ」



 ん?
 さらに、すごい発言してないか。悠真クン。

 空耳じゃないよな。


 あの……それじゃ、一人暮らしを始めたお兄さんに当てつけてるようにしか聞こえないヨ?