「別に、誰も頼んでない。向こうが勝手にやってるだけだ」

「違うだろう。おまえが何もやらなさすぎだから、将生が見かねてやってるんだ。家事も炊事も他人任せでは、自活しているとは言い難いぞ」


 えぇぇぇ?
 ちょっと見直したぞ。桜沢·弟。
 掃除するんだ。食事作るんだ。すごいじゃーん。


 ちょっと悠真クンが羨ましいぞ。
 玲奈も、お目が高ったのだな。まさか、それに気付いてたとか? 侮れんな。


 ……けど、将生が家事スキルを習得した理由は、考えるまでもないな。
 ひとり、やらなさそーな姉ちゃんがいるもんな。


 身内じゃない第三者(主に、私と雑賀クン)は口を挟めない。
 不穏な空気の中、セクター長は腕組みして淡々と先を続ける。


「いずれ将生も結婚する。それ後も、ずっとおまえの面倒を見させるつもりか?」

「…………」


 ん、まぁ、ごもっともな意見ですな。

 改めて突きつけられた現実に、悠真クンは押し黙る。
 自分が子供っぽい我儘をしてたという指摘。