「やっぱり、セクター長もそう思われますか?」

「どういうことだ」

 一足跳びで進んだ話が不満だったのか、仏頂面の悠真クンが会話に混ざってきた。

 何でかな。彼の視線が痛い。
 意図的に威嚇してるわけじゃないんだよと自ら言い聞かせて、補足説明する。


「雛人形が攻めてきてる。本来なら零時まで、もっと力の消耗に気を使うはずよ。停電なんて、かなり挑発的になってる……」

「何か、別の要因があるのかもしれませんね。他に力が増幅した条件が整ったとか」


 雑賀クンと意見を転がしながら、よくあるパターンと人形の動きを比較してみる。

 たぶん、遥香とセクター長への通話が途中で切れたのも、ヤツらの仕業だ。
 相性のよくない機械に干渉するなんて、めちゃくちゃ攻撃的になってる。
 これだけの人数を相手に、かなり強気だ。だんだん、全員が無傷で脱出できる可能性が危うくなってきた。


 彼らは普通、生きている人間にテリトリーを荒らされると、沈黙する。
 テレビの心霊番組なんかで、何も起きないことがあるように。