将生のことだから、ありえなくはない。

 ただ、そこに悠真が絡んでいるのかは謎だ。
 できれば関わってほしくないのだ。


 でないと。


「心配だから見に行こう。何か、嫌な予感がする」

 あう。やっぱりー。

 拓真さんも、セクター長って立場がありますものね。
 予想外のアクシデントは速急に対処しなければならないですもんね。

 彼の気持ちも、理屈もわかるんだけどッ。


「だ、大丈夫ですよ。真矢もいるし。あの娘、オカルト史に精通してますから、対処法は知ってるはずですから!」

 なけなしの希望に縋る。

 真矢は、ああ見えて古今東西のオカルト歴史が専門だ。
 下手をするとにわか仕込みの霊術士より、よっぽど事態を早く把握できる。


 拓真さんも、あの娘の知識量には一目おいてるはずなのにぃぃぃ。


「でも、あいつの声が具合悪そうなんだよ。放っておけない」


「え? あ、え」


 椅子から立ち上がり、すたすたと研究室を出ようとする。



 あの人も、なんだかんだ言って悠真が可愛いのだろう。
 年齢や職場、立場から、優しくできないだけであって。