通話している途中、今度はわたしのスマートフォンにも着信が来た。



「え、将生?
 はあぁぁぁ? 人形?」


 スピーカー越しの弟の話は、いまいち要領を得ない。

 人形?
 悠真?

 体調不良の原因?
 知るか。そんなもん放置しとけ。


 向こうは言うだけ言ったら、切れたし。
 何か訊きたいことがあったんじゃないの?


 意味不明な電話だ。
 通話の切れたスマートフォンを見つめていると、拓真さんが話しかけてくる。


「ハルちゃん。今、悠真から電話が来たんだけど」

「私も、あのバ……いえ、将生から連絡が来まして」


 向こうも通話がいきなり切れたらしい。
 一体、悠真はどこにいるのかしら?
 将生といるなら、わたしの研究室?


 なら、何故わざわざ別々にかけてくるの?

 たくさんの疑問が頭の中に湧いてくる。


 拓真さんも、状況が呑み込めていない。不思議そうな表情で確かめてくる。


「ハルちゃんの研究室で何か起きたみたいなんだけど、どういうことか知ってる?」

「さぁ……あいつがまたサンプルをいじったのかもしれません」