さらに言うならば、幼なじみなどは用心を重ねるべし。
ずっと独占していた妹ポジションを空けてはならない。小、中、高生あたりの少女時代は、ものすごく卒業したいだろうが我慢だ。忍耐だ。
いずれ、大学を卒業し、就職となればネックだった年齢差はあまり気にならなくなる。
そうなれば、アタックの好機は絶対に訪れる。
歳上の彼は、少女から成長した幼なじみのギャップをダイレクトに感じるだろう。
つまり、抱く印象は自然と強いものになる。
その証拠に、こちらを見つめる拓真さんの目は優しげだった。
「……とても、きれいになったね」
うっはー。
すみません。
これは、いっちゃうしかないですよね。
「拓真さんッ! あの、わたし……」
今こそ、積年の想いを打ち明ける時。
高鳴る胸をおさえ、上擦る声に言葉をのせれば。
突然メロディーが流れる。空気の読めない着信音だな!
発生源は拓真さんのスマートフォンだった。
机の上にあったらしく、すぐに耳に当てて対応する。
「はい。加納で……なんだ。悠真か。なに? ハルちゃんの研究室?」