思春期を超えたあたりで出てきた欲求不満は、そこそこ相手を見繕い、適当に経験を積んだ後は、悠真をいじめ抜くことで解消してきた。


 絶対に、負けるものか。一度、関係を結んだら離さない自信がある。


 ふつふつと湧いてくる闘志とは裏腹に、拓真さんは別のことに気付いたようだった。


「あ、馴れ馴れしいかな。君も、もう素敵な女性なのに」

「いッ、いえ! わざわざ変えなくてもいいじゃないですか!」


 慌てて、首を振る。
 幼なじみ。このポジションは外せない。


「拓真さんにしてみれば子供っぽいってことでしょうし」

 わざと困ったような声で肩を落とす。



 歳上の男性に片想い中の女性諸君。
 アプローチするなら、決して背伸びをしてはいけない。どう努力しようが、実際の年齢差は変わらないのだから、ここはあっさり認めた方がいい。


 すると、


「そんなことないよ」


 なーんて、相手が気を使ってくれる。妙齢女子は特に。