決意を新たにすれば、拓真さん本人によって現実へ引き戻される。
「……けど、そろそろ将生に対して何かしら処分をしないとね。他のセクターの目があるし。
まぁ、勤務時間を交代するとか、巡回の場所を変更するくらいだから、警備部と相談してみるよ」
「い、いえ。弟の不始末は、どうか姉のわたしに!」
内線の受話器を手にとり、打診しようとする拓真さんの声を遮る。
動きを止めた彼が、ぽかんとこちらを見返してきた。
再び魅入ってしまいそうになるのをこらえ、わたしは話を続ける。
「あいつ……昔っから、そそっかしいけど悪いヤツじゃないんです。トラブルを起こすのも、わたしがよく言って聞かせなかったからで」
精一杯、声色つかって訴える。
将生を罰しないように。わたしがペナルティーを受けるように、懇願する。
「お願いします。将生を許してください。他の方に迷惑はかけられません。処分は、どうかわたしだけに……」
最後に、深々と頭を下げた。
もちろん、将生のためではない。
ヤツのことは少しばかり目障りだが、いなくなっては困る。