不思議そうに首を傾げて、幼なじみの背中をさする将生。
おかしいな。何も感じてないのか?
夏の夜とはいえ、気温を氷点下にまで下げるほどの力なら、多少なりとも影響を受けるはずなんだけど。
彼がピンシャンしている理由に、雑賀クンは心当たりがあるようだ。
「将生は守りが強いから……」
「何の話? オレ、高校時代はバッターだったんだけど」
野球の話と勘違いしている本人はさておき。
雑賀クンが苦笑しているのは、ヤツの体質だ。
例えるなら、病気だろうか。
先天もしくは後天的な理由を除けば、人間は誰もが、ある程度の免疫を持ってる。
霊的なものだって同じだ。個人的はあるけど、彼らに対する抵抗力で存在を認識できたり、体調に変化が出るもんだけど。
稀にいるでしょ。
インフルエンザや食中毒で学級閉鎖になっても、ひとりピンピンしているヤツが。
将生の体質は、まさにそれ。
きっと生命力が強すぎて、負のエネルギーを受けつけないんだわ。
あるいは、嫌われてるのかも。恐怖や不安、妬み嫉みが薄いと、あいつらも同調しにくいからなぁ。