淡々とした雑賀クンの口調に、引きつった。
「ちょっと待って。あいつら零時まで、粘るつもり?」
「絶対にないとは言い切れません。よっぽと強い念が染みついてるんでしょう。僕たち全員を狙っているのかも」
首を振る雑賀クンは恐ろしい可能性を提示したのだ。
空間をねじ曲げ、生きている人間の目を欺いて隠れる人形たち。
それだけ強い力を持ってるなら、簡単に脱出させてくれない。
あるいは、自分たちの力が一番強まる零時まで粘るかもしれないのだ。
大抵の霊障は夜に起きる。それは、犯人の力が増幅しているからだ。
闇は、魔を呼ぶ。
恐怖を呼ぶ。
特に、深夜の二時を過ぎると危ない。
草木も眠る丑三つ時……なんて句もあるように、タチの悪い妖と夜を迎えようものなら確実に生命の危機を覚悟しなければならない。
恨みだけで物理法則を無視する輩なのだ。
非科学的だと口にするのは簡単だが、数字や論理だけで地球は救われない。人間の作った恨みや歪みは、長い年月をかけて人類を蝕む。
突然の天災に、私たち人間は成す術がないように。