「ゆ、悠真くん。今回は仕方ないよ。いきなり遥香さんに呼び出されて、事情を知らなかったみたいだし」


 頭部をさする将生を庇う。

 あぁ、なんていい娘だろう。
 フォローする相手を間違えてるかもしれないけど。


「どうだかな」


 案の定、悠真クンは鼻で笑った。

「将生。おまえ、あの性悪女と仮にも二十七年の付き合いだろ。電話で呼び出された時点で利用されてるって、いい加減に気付け」


 そうだった。
 将生と幼なじみってことは、悠真クンも自然と遥香と腐れ縁になるわけで。

 彼女を「性悪」と言っただけで、わかった。
 幼い頃より、遥香がどう悠真クンに接してきたか。


 それと同じくらい、もしくは手ひどく扱われたであろう将生は曖昧な表情を浮かべる。


「あー、いや……」


 悠真クンの言葉が理解できなかったのか、微妙な生返事。

 何かがブチッと切れた音がする。
 気が付けば、悠真が幼なじみの頭を鷲掴みにした。