「なんで、ドアを閉めちゃったんだよ! 悠真!」

「知るか」

 掴みかかる同僚を、悠真クンはクールにかわす。
 そのやりとりは自然すぎて、互いに気にした様子は全くない。兄弟みたいだ。


 そういや、このふたりって幼なじみの腐れ縁だったな。
 同い年で家が隣同士。生まれた時から一緒にいて、進学先も就職先も一緒。よくもそれだけ一緒にいられるもんだ。
 これが異性同士なら、運命の相手とかで結婚してそう。意味ない想像だけど。


「今、めっちゃ大変なことになってんだぞッ…………そういや、悠真は何でここに?」

「おまえが、なかなか戻ってこないからだ。勤務中だぞ」


 悠真クンは、迎えにきてやったと言わんばかりの態度。
 仲がいいんだか、悪いんだか……


 彼らの日常会話を聞いてると、すこぶる不思議だ。

 噂じゃ、悠真クンの学生時代は成績優秀で剣道の達人だったらしい。
 勤務態度も真面目で、いつもクールな言動を崩さない。


 片や、平凡な顔立ちで人のよさくらいしか取り柄のない将生とは正反対だ。